理事長ご挨拶

2020年に向けて、新たな一歩を

 日展は、明治四十年の文部省美術展覧会(文展)から数えて今年111年を迎えます。
 2013年以降、日展は厳しい改革を進めてまいりました。昨年は、110年という大きな節目を迎え、過去の業績を振り返りながら、さらなる発展へ向けての契機となりました。この間試練を乗り越えてこられましたのも、過去に大きく貢献し、地盤を築いてくださった数多くの作家の方々の残された有形、無形の遺産と力のおかげであり、改めて、支えられ守られていることに大きな感謝を感じた一年でした。
 今年は、改革から5年目となります。改革によって組織をシンプルにし、より開かれた形で審査を行うこととさせていただきました。ただ、何よりも、作家集団である日展は、作品で皆様にお応えしたいと考え、一層真剣に作品づくりに取り組んでまいりました。現在、日本画、洋画、彫刻、工芸美術、書の五部門にわたり、全国で一万一千人を超える応募者が活動しています。その中から入選した約2,200点と、長年の努力が認められ会員や準会員となっている作家の作品、前年に特選を受賞した無鑑査作品と合わせて約3,000点の作品が一堂に会します。このような、五科そろっての大規模な公募展は世界に類がなく、スケールの大きな展覧会となっております。
 近年、団体展離れが問われておりますが、日展は若い方々が日展に入って良かったと思えるような体制づくりを進めております。十代から100歳まで、さまざまな作家が同じ立場で一年に一度、その作品を発表し合います。作品が同じ会場に並び、皆様にご覧いただき、評価をいただくことが作家にとっては大きな励みともなっています。またさまざまな面で孤独との闘いでもある作家活動がより充実し、高みに進んでいけるよう進めております。
 2020年にはいよいよ東京オリンピックの開催も控えており、文化面でも国際的な交流の必要性を重く感じております。作家が、より広い世界へ羽ばたいていけるよう、日展では、今年から会場内での作品撮影を一定の条件のもとで行っていただけるようにいたしますので、ご覧になった皆さまからも発信していただいて親しく交流、鑑賞いただけたらありがたいと考えております。
 日展は常に高い次元を目指す作家集団として、切磋琢磨し、より優れた日本の現代の美術作品を、国内だけでなく世界へ発表していく、そうした視点で真摯に取り組んでまいりたいと考えております。ぜひ、多くの皆様にご高覧いただきご講評をいただくことで、作家一同精進してまいりたいと存じます。今後もより一層のご指導ご鞭撻を賜りますようお願いいたします。

公益社団法人 日展 理事長 奥田小由女